自分でLMSの環境を作ってみよう! 3.必要なソフトウェアのインストール編

下記の手順に沿ってLMSの環境の作り方を説明するよ!
今回は3番目の必要なソフトウェアのインストールだよ~。

  1. コンピュータの準備
  2. OSのインストール
  3. 必要なソフトウェアのインストール
  4. LMSのインストール
  5. LMSの起動と動作確認

 LMSについては事前知識編で詳しく紹介しています。

必要なソフトウェアのインストール

コンピュータをCUIで操作するための基礎知識

 前回インストールしたDebianは、Windowsなどと異なりCUIで操作するコンピュータです。GUIとは使い勝手が異なるため、まずはCUIでの操作に必要な、コマンド、ディレクトリとパス、ファイルのアクセス権の3つを説明します。

コマンドとは

 CUIのコンピュータは、キーボードから文字を入力することで操作します。この時入力する文字をコマンドと呼びます。コマンドには半角スペースで区切ってオプションや引数をつけることができます。オプションはコマンドの動作を変化させるもので、引数はコマンドの処理の対象になるものです。

 下記のコマンドを見てみましょう。
 「rm」はファイルを削除するコマンドです。「-i」がオプション、「ファイル名」が引数です。「-i」は削除時に確認するオプションです。オプションを省略して「rm ファイル名」を実行したときと動作を比較してみましょう。

rm -i ファイル名

 図 [1] の「ls」はディレクトリ(Windowsでいうフォルダのこと)の内容を表示するコマンドです。はじめにディレクトリ内にあった「test」というファイルが、「rm test」とコマンドを入力した後に消えたことが確認できます。

[1]

 「rm -i test」を入力すると「rm: remove regular file ‘test’?」とメッセージが表示されます。「yes(yでも可)」と入力してEnterキーを押すとファイルが削除されます。

[2]

 このように、オプションをつけるとコマンドの動作が変わります。
 なお、コマンドに「–help」「-h」などのオプション(コマンドによって異なります)をつけると、そのコマンドの説明が見られます。使い方が分からなくなった場合は確認してみましょう。
 また、コマンドの入力中に「Tab」キーを押すと、入力内容が予測され自動で続きが入力されます。
 方向キーの上を押すと、入力したコマンドを遡ることができます。同じコマンドを繰り返し使いたい時は遡ってみましょう。戻る時は方向キーの下を押します。

 以下はよく使うコマンドの一例です。使い方は実際に使う場面で詳しく説明しますので、ここではこんなものがあるくらいに覚えておきましょう。

コマンド ()内は省略可動作
ls (オプション) (ディレクトリ名)ディレクトリの内容を表示
mkdir (オプション) ディレクトリ名ディレクトリを作成
rmdir (オプション) ディレクトリ名ディレクトリを削除
cd 移動先のパス移動先のパスで示されたディレクトリへ移動
cp (オプション)コピー元 コピー先ファイルのコピー
rm (オプション) ファイル名ファイルの削除
mv (オプション)移動元 移動先ファイルの移動
chmod (オプション) アクセス権 ファイル名ファイルのアクセス権を変更
chown (オプション) 所有者名 (グループ名) ファイル名ファイルの所有者を変更

 ソフトウェアの管理は「apt」というコマンドを使います。OSのインストール時に設定したアーカイブサーバから、ソフトウェアのパッケージ(ソフトウェアの動作に必要なファイル、説明書などをひとまとめにしたもの)をインストールしたり、削除したりすることができます。
 aptにはいろんなオプションがありますが、ひとまず下記のものを覚えておきましょう。

コマンド動作
apt install パッケージ名パッケージをインストール
apt upgradeパッケージを更新
apt updateパッケージリストを更新
apt remove パッケージ名パッケージを削除

ディレクトリとパス

 CUIのDebianでは、Windowsなどのように視覚的にディレクトリをクリックして移動することができません。代わりに使うのが「cd」コマンドとパスです。ディレクトリの構造を理解し、パスがイメージできるようにしましょう。

ディレクトリの構造

 Debianではファイルやディレクトリを階層構造で管理しています。

  • ルートディレクトリ一番上の階層のディレクトリのこと。
  • カレントディレクトリ今見ているディレクトリのこと。図[3]ではディレクトリ2。
  • ホームディレクトリ:ユーザ毎に割り当てられたディレクトリのこと。
  • 親ディレクトリ:カレントディレクトリから見て、すぐ上の階層のディレクトリのこと。図[3]ではディレクトリ2がカレントディレクトリなので、親ディレクトリはルートディレクトリ。
  • サブディレクトリ:あるディレクトリの下に位置するディレクリのこと。図[3]のルートディレクトリのサブディレクトリといった場合はディレクトリ1~3のことで、ディレクトリ2のサブディレクトリといった場合はディレクトリ3のこと。
[3]
パス

 パスとは、あるディレクトリやファイルなどを示す住所のようなものです。「/」でディレクトリ名やファイル名などを区切って表します。たとえば「user」ディレクトリの下の「dir1」ディレクトリのパスは「user/dir1」です。
 パスには絶対パスと相対パスの2つがあります。

  • 絶対パスルートディレクトリから見た、あるディレクトリやファイルまでの道筋のこと。
  • 相対パスカレントディレクトリから見た、あるディレクトリやファイルまでの道筋のこと。

 また、一部のディレクトリは下記のように特殊な表し方をします。

  • ルートディレクトリ:「/」(「/」の左に何も書かない)
  • カレントディレクトリ:「.」
  • 親ディレクトリ:「..」

 図[3]でディレクトリ1の絶対パスと相対パスは次のようになります。
絶対パス:/ディレクトリ1
相対パス:../ディレクトリ1
 絶対パスは単純にルートディレクトリの下のディレクトリ1です。
 相対パスはカレントディレクトリであるディレクトリ2から見た道筋なので、親ディレクトリ「..」の下のディレクトリ1という意味で、「../ディレクトリ1」です。

 ディレクトリ3の絶対パスと相対パスも見てみましょう。
絶対パス:/ディレクトリ2/ディレクトリ3
相対パス:./ディレクトリ3
 絶対パスはルートディレクトリの下のディレクトリ2の下のディレクトリ3となります。
 相対パスはカレントディレクトリ「.」の下のディレクトリ3という意味で、「./ディレクトリ3」です。
 カレントディレクトリは省略することもできるので、単純に「ディレクトリ3」とすることもできます。ただし、「.」だけを省略して「/ディレクトリ3」とするとルートディレクトリの下のディレクトリ3という意味になってしまうので、注意しましょう。

ファイルのアクセス権

 ファイルにはアクセス権というものがあります。ファイルが誰でも自由に操作できる状態だと、システムの動作に関わる重要な設定を誤って変更してしまったり、他のユーザのファイルを誤って変更してしまったりというようなトラブルが起こります。これを避けるため、誰にどんな操作を許可するかを決めたものがファイルのアクセス権です。
 ファイルの操作をできる人は次の3種類に分けられます。

  • 所有者:そのファイルの所有者であるユーザのこと
  • グループ:そのファイルを所有するグループに属するユーザ達のこと
  • その他:所有者、グループ以外のユーザ

 ファイルに対して次の3つの操作があります。

  • 読み取り:ファイルを読む(閲覧)すること
  • 書き込み:ファイルに書き込む(変更を加える)こと
  • 実行:ファイルを実行すること

 それぞれのファイルには、ファイルを操作できる人が、どの権限を持つのかが設定されています。
 「ls」コマンドに「-l」というオプションをつけると、ディレクトリの内容を詳しく表示できます。

[4]

 一番下の行に注目します。「rw-r–r–」がアクセス権、左側の「root」が所有者、右側の「root」がファイルを所有するグループです(分かりにくいですが、左側の「root」はユーザ名、右側の「root」はグループ名です。「root」は「root」というグループに属するユーザです)。一番右に表示されている「test」がファイル名です。
 アクセス権を見てみましょう。「rw」や「r」という文字が並んでいます。この「r」は読み取り権限のことです。「w」は書き込み権限、「x」は実行権限のことです。「x」がないので、このファイルに対し、実行権限を持つユーザはいません。
 一番左の「rw-」までが所有者の権限、次の「r–」が所有するグループの権限、最後の「r–」が第三者の権限です。読み取り、書き込み、実行の権限の有無を3文字で表していて、権限があれば「r」「w」などと表示され、なければ「-」と表示されます。このファイルは所有者である「root」のみ読み取りと書き込みが可能で、それ以外は読み取りしかできない、ということが分かります。

[5]

サーバに必要なソフトウェア

 事前知識編で説明したように、コンピュータをサーバとして使うにはいくつか必要なソフトウェアがあります。webサーバ、データベース管理システム、LMSで使用されているプログラミング言語の3つを順番にインストールしていきましょう。

webサーバ

 webサーバをインストールします。ここではApacheをインストールします。パッケージ名は「apache2」なので「apt install apache2」と入力して「Enter」キーを押しましょう。

apt install apache2
[6]

 パッケージリストの読み込み状況や、推奨するパッケージなどが表示され、「Do you want to continue? [Y/n]」と表示されます。「y」と入力して「Enter」キーを押すとインストールがはじまります。この確認メッセージは「apt」コマンドに「-y」というオプションをつけると省略できます。エラーなどが表示されずに、プロンプト(ユーザの入力待ちを表す記号。図の「_」の部分)が表示されればインストール完了です。

[7]

データベース管理システム

 データベース管理システムをインストールします。今回はMoodleの3.11をインストールするので、https://download.moodle.org/releases/latest/を確認します。ここではPostgreSQLをインストールするので、バージョン9.6以降であればいいということを確認したらコマンドを入力しましょう。確認メッセージを省略するため「-y」オプションもつけます。「apt install -y postgresql」まで入力したら、「Tab」キーを押してみます。

 パッケージ名の候補の一覧が表示されます。「postgresql」のあとに「-」で続いている数字はバージョン番号です。バージョン11があるようなので、これをインストールします。キーボードの「q」を押すと、「–More–」と表示された画面を抜けてコマンドの入力に戻れます。「apt install -y postgresql-11」としたら「Enter」キーを押してインストールしましょう。

[8]
apt install -y postgresql-11

 インストールが終わると、postgreSQLを使うためのコマンド「psql」が使えるようになります。「psql –version」と入力して、インストールしたpostgreSQLのバージョンを確認してみます。

psql --version

 バージョン11.12がインストールされていることが確認できました。

[9]

LMSで使用されているプログラミング言語

 Moodle3.11に必要なのはPHPです。https://download.moodle.org/releases/latest/によるとバージョン7.3以降が必要だと分かります。Debianのバージョン10ではデフォルトでphp7.3がインストールできます。

apt install -y php

 インストールが終わったら「php -v」と入力してみましょう。バージョン7.3.27-1がインストールされたことが確認できます。

php -v
[10]

キーワードのおさらい

コマンドCUIでコンピュータに指示を与える文字のこと。オプションや引数をつけることでコマンドの動作に変化をつけられる。
プロンプトCUIでユーザの入力待ちを示す記号。
パッケージソフトウェアの動作に必要なファイル、説明書などをひとまとめにしたもの。
ルートディレクトリ一番上の階層のディレクトリのこと。
カレントディレクトリ今見ているディレクトリのこと。
パスあるディレクトリやファイルまでの道筋を表した、住所のようなもの。絶対パスと相対パスがある。絶対パスはルートディレクトリから見た道筋で、相対パスはカレントディレクトリから見た道筋。
アクセス権あるファイルに対して、誰がどんな操作をできるかを決めたもの。
ファイルの所有者:ファイルの所有者であるユーザのこと。
グループ:ファイルを所持するグループに属するユーザのこと。
その他:所有者、グループ以外のユーザのこと。
読み取り権限:ファイルを読む(閲覧)権限。
書き込み権限:ファイルに書き込む(変更を加える)権限。
実行権限:ファイルを実行できる権限。

これで最低限LMSのサーバとして必要なソフトウェアのインストールが終わったよ。
次はLMSのインストールを説明する予定だよ~。

自分でLMSの環境を作ってみよう! 2.OSのインストール編

下記の手順に沿ってLMSの環境の作り方を説明するよ!
今回は2番目のOSのインストールだよ~。

  1. コンピュータの準備
  2. OSのインストール
  3. 必要なソフトウェアのインストール
  4. LMSのインストール
  5. LMSの起動と動作確認

 LMSについては事前知識編で詳しく紹介しています。

コンピュータの準備

OSのインストール

 用意した仮想マシンにOSをインストールしていきます。今回使うのはDebianです。 下記のサイトで「Download」をクリックすると、「.iso」という拡張子のファイルのダウンロードがはじまります(サイズが大きいので時間がかかります)。
https://www.debian.org/
 コンピュータにOSをインストールするときは、コンピュータの電源を入れてOSのインストーラが入ったCDやDVDなどのディスクを入れます。ここではダウンロードした「.iso」という拡張子のファイルを使います。このファイルはISOイメージファイルと呼ばれ、CDやDVDなどに書き込まれていたデータをひとつのファイルにまとめたものです。Debianのインストール用ディスクの代わりとして使えます。

[1] ISOイメージファイルを仮想マシンにセットしましょう。歯車のマークの[設定]をクリックします。

[1]

[2] 左のメニューから[ストレージ]を選択します。「コントローラー:IDE」の下の「空」をクリックします。

[2]

[3] 右側に表示されている「属性」の下の「光学ドライブ」の右端にある青いディスクのマークをクリックします。

[3]

[4] [ディスクファイルを選択]をクリックして、ダウンロードしたISOイメージファイルを選択します。

[4]

[5]「空」だったところにファイル名が入りました。これでコンピュータにOSインストール用のディスクを入れたのと同じ状態になりました。「OK」をクリックして、設定画面を閉じます。

[5]

[6] 右向き矢印の[起動]をクリックします。

[6]

[7] ダイアログボックスが表示されたら、「ホストドライブ」をクリックしてDebianのISOイメージファイルを選択します。

[7]

[8] [起動]をクリックします。

[8]

[9] Debianのインストール画面が表示されました。
 ここからは主にキーボードでの操作になります。方向キーの下で「Install」を選択し、「Enter」キーを押します。

[9]

 なお、仮想マシンの操作中はカーソルが仮想マシンの中に固定されることがあります。もし仮想マシンの操作を中断してホストのコンピュータの操作をしたい場合は、キーボードの右側の「Ctrl」キーを押します。

[10] インストール中の言語およびOSのデフォルトの言語を選択します。日本語を選択すると文字化けすることがあるため、デフォルトの「English」のまま「Enter」キーを押します。

[10]

[11] 住んでいる地域を設定します。ここでは「Japan」と設定するため、方向キーで「other」を選び「Enter」キーを押します。

[11]

[12] 「Asia」を選択し「Enter」キーを押します。

[12]

[13] 「Japan」を選択し「Enter」キーを押します。

[13]

[14] 最初に選択した言語(English)と住んでいる地域(Japan)が一致していないと言われますが、「United States」のまま「Enter」キーを押します。

[14]

[15] キーマップを設定します。
 日本語入力のキーボード(JISキーボード)の場合は「Japanese」を選択し「Enter」キーを押します。(方向キーで選択してもいいですが、「J」のキーを押すと「J」ではじまる言語にすぐに移動できます。)
 しばらく進捗バーが表示されてインストールが進みます。

 キーマップとは、キーボードのキーの割り当てのことです。キーマップは言語などによって異なるため、ここで間違ったものを設定すると、Aを入力したつもりなのに画面上にはBが表示されている、といったトラブルが起きます。

[15]

[16] サーバの名前を設定します。初期状態では「debian」と入っています(画像は初期状態です)。ここでは「moodle311」とします。入力したら「Tab」キーで「Continue」を選択し「Enter」キーを押します。

[16]

[17] ドメイン名の設定です。
 ここではドメイン名の設定をしないので、何も入力せず「Tab」キーで「Continue」を選択し「Enter」キーを押します。

 ドメイン名とはインターネットに接続されたコンピュータなどを識別するためにつけられた名前のことです。インターネットに接続されたコンピュータには、それぞれを識別するために固有のIPアドレスが割り当てられます。このIPアドレスは数字だけで表現されるため、人の目では区別しにくいです。そこで、IPアドレスに別の分かりやすい名前をつける表し方が考えられました。その名前のことをドメイン名と呼びます。

 「abc.co.jp」がドメイン名にあたります。「www」はホスト名といいます。ホスト名についてはここでは詳しく説明しませんが、ホスト名とドメイン名を使って、IPアドレスを置き換えて表現していると思ってください。

[17]

[18] rootというユーザのパスワードの設定画面です。
 今回はrootを使用します。パスワードを入力して「Tab」キーで「Continue」を選択し「Enter」キーを押します。

 rootとは管理者権限を持ったユーザのことです。Linux系OSではよくこの名前が使われるため、もし第三者にrootでログインされてしまった場合、コンピュータの設定を変えられてしまう危険性があります。その危険を避けるため、この画面ではパスワードを入力せずに次へ進んだ場合はrootを無効にすることができます。
 今回作るのは、一時的な動作確認のためのサーバです。第三者にアクセスされる危険性は低いため、rootを使用します。

[18]

[19] パスワードの再入力画面です。同じものを入力して次に進みます。

[19]

[20] 管理者権限を持たないユーザを作成できます。ここでは「service」というユーザを作ります。ユーザの名前を入力して次へ進みます。

[20]

[21] 前の画面で設定したユーザのログイン時に使用するアカウント名を設定します。入力して次へ進みます。

[21]

[22] パスワードを入力して次に進みます(rootの時と同様に2回入力します)。

[22]

[23] ディスクの設定の画面です。
 一番上が選択された状態のまま「Enter」キーを押します。
 次の「Select disk to partition:」と「Partitioning scheme:」の画面も何も変更せず「Enter」キーを押します。

[23]

[24] 「Finish partitioning~」を選択した状態で「Enter」キーを押します。

[24]

[25] 最終確認の画面です。「Tab」キーで「Yes」を選択して「Enter」キーを押します。

[25]

[26] 他のディスクを読み込むか聞かれます。「No」を選択して次に進みます。

[26]

[27] Debianアーカイブミラーの設定画面です。
 ここでは「Japan」を選択して「Enter」キーを押します。

 Debianで利用できるソフトウェアはアーカイブサーバと呼ばれるサーバからダウンロードできます。仮にこのサーバがひとつしかないとすると、サーバが壊れたときにソフトウェアのダウンロードができなくなります。また、Debianの利用者は世界中にいるので、アクセスが集中して負荷がかかります。それらを防ぐために世界の各地に作られたのが、アーカイブサーバのミラー(アーカイブミラー)です。地理的に距離が近いものを選択すると、ダウンロードにかかる時間が早くなります。

[27]

[28] どのアーカイブミラーを使うかを選択します。地理的に距離が近いものを選びましょう。ここでは「deb.debian.org」のまま「Enter」キーを押します。

[28]

[29] HTTPプロキシサーバ(以下、プロキシサーバと記載)の設定画面です。
 今回は使用しないので、何も入力せずに次に進みます。
 しばらく進捗バーが表示され、インストールが進みます。

 プロキシサーバとは、クライアントとインターネットの間に位置し、クライアントの代わりにインターネットに接続するサーバです。直接インターネットに接続すると、IPアドレスなどのクライアントの情報が接続先のサーバに残りますが、プロキシサーバを経由した場合、接続先に残る情報はプロキシサーバの情報です。つまり、匿名化した状態でインターネットにアクセスできるのです。プロキシサーバには他にもいくつかメリットがありますが、ここでは割愛します。

[29]

[30] Debianの利用状況調査に協力するかを聞かれます。ここでは参加しないので、「Tab」キーで「No」を選択して「Enter」キーを押します。

[30]

[31] インストールするソフトウェアを選択します。方向キーで移動し、スペースキーでチェック(*)をつけたり外したりできます。
 ここでは最低限必要なものだけをインストールするので、「SSH server」のチェックを外します。一番下の「standard system utilities」のみにチェックが入った状態で、「Tab」キーで「Continue」を選択し「Enter」キーを押します。
 進捗バーが出て、インストールが進みます。

[31]

[32]GRUBブートローダのインストールをするかを聞かれます。「Tab」キーで「Yes」を選択して「Enter」キーを押します。

 ブートローダとはOSが起動するためのトリガーのことです。Linuxでよく使われるものがGRUBブートローダです。これをインストールしないとLinuxが起動しないので、必ずインストールしましょう。

[32]

[33] ブートローダをインストールする場所を聞かれます。下の「/dev/sda」を選択して「Enter」キーを押します。

[33]

[34] これでインストール手順が全て終わりました。「continue」を選択して「Enter」キーを押すと、Debianが起動します。

[34]

[35] 起動が終わると、図のようにDebianのログイン画面が表示されます。「root」と入力して「Enter」キーを押してみましょう。

[35]

[36] パスワードを聞かれるので、上の手順で設定したパスワードを入力します。入力しても画面に変化はありませんが、入力された内容はきちんとコンピュータが受け取っているので気にせず入力しましょう。入力が済んだら「Enter」キーを押します。

[36]

[37] ログインが成功すると、一番下の行の左側に「root」と表示されます。「root」でログインしているという意味です。

[37]

 今回インストールしたDebianでは、ユーザの入力とコンピュータからの応答がどちらも文字で行われます。この方式はCUI(キャラクタユーザインタフェース)と呼ばれます。

VirtualBoxのスナップショットと終了

スナップショット

OSのインストール長かったね~。もしこの後何か失敗してうまく動かなくなった時に、もう一度インストールし直しになったら……と思うと嫌になっちゃう。
でも、VirtualBoxのスナップショットという機能を使って今の状態を保存しておけば、いざというときに復元できるから安心だよ!

 スナップショットとは、カメラで一瞬を切り取るように、コンピュータのある時点のファイルやフォルダなどの状態を抜き出したもののことです。スナップショットを作成した時点のコンピュータの状態を保存しておくことができ、後からその状態を復元できます。
[38] 画面上部のメニューの[仮想マシン]→[スナップショット作成]をクリックします。

[38]

[39] 「仮想マシンのスナップショット作成」というダイアログボックスが表示されます。スナップショットの名前と、その説明を入力します。
 ここでは名前を「OSインストール完了」としました。入力したら[OK]をクリックします。

[39]

[40] タイトルバーにスナップショットの名前が表示されました。

[40]

 ここで、Oracle VM VirtualBox マネージャーを見てみます。

[41] 仮想マシンの名前の右にある三本線のアイコンをクリックして、[スナップショット]をクリックします。

[41]

[42] この画面からスナップショットの操作(作成、削除、復元など)ができます。

[42]

仮想マシンの終了

 仮想マシンの操作を終了するときは右上の[×]ボタンをクリックします。

[43] 3つの終了方法を選択できます。
 ここでは一番上を選んで[OK]をクリックします。

[43]
  • 仮想マシンの状態を保存:スリープに近い動きをします。次回起動時は、終了時の状態が復元されます。
  • シャットダウン シグナル送信:シャットダウンの命令を出して仮想マシンの電源を切ります。コンピュータのメニューからシャットダウンを選んで電源を切るのと近い動きをします。次回起動時はコンピュータの電源ボタンを押して起動するのと同じ動作をします。
  • 仮想マシンの電源オフ:仮想マシンの電源を切ります。コンピュータの電源のプラグを抜くのと近い動きをします。通常のシャットダウンの処理を行わないため、データが保存されず破損することがあります。次回起動時はコンピュータの電源ボタンを押して起動するのと同じ動作をします。

キーワードのおさらい

ISOイメージファイルCDやDVDなどのディスクのデータをひとつのファイルにまとめたもの。
IPアドレスインターネットに接続されたコンピュータを識別するためにつけられた番号のこと。
ドメイン名インターネットに接続されたコンピュータを識別するためにつけられた名前のこと。これを使うことで、インターネット上のコンピュータのことを人に分かりやすい形で表現できる。
ミラーサーバあるサーバの複製のこと。バックアップや負荷分散のために作られる。
ブートローダOSが起動するためのトリガーのこと。
CUIキャラクタユーザインタフェースの略で、ユーザとコンピュータなどのやりとりが全て文字だけで行われる方式のこと。これに対して、画像などによる視覚的な操作が可能なWindows 10などの方式はグラフィカルユーザインタフェース(GUI)と呼ぶ。

次はサーバに必要なソフトウェアをインストールする手順を説明する予定だよ~。

自分でLMSの環境を作ってみよう! 1.コンピュータの準備編

下記の手順に沿ってLMSの環境の作り方を説明するよ!
今回は1番目のコンピュータの準備だよ~。

  1. コンピュータの準備
  2. OSのインストール
  3. 必要なソフトウェアのインストール
  4. LMSのインストール
  5. LMSの起動と動作確認

 LMSについては事前知識編で詳しく紹介しています。

コンピュータの準備

仮想マシンとは

 サーバとして使うコンピュータを準備します。ここでは仮想マシンを使います。
 仮想マシンとは、あるコンピュータの上に作り出された、仮想的な別のコンピュータのことです。前者のコンピュータのことをホスト、後者をゲストと呼びます。ホストには物理的な機械の部分がありますが、ゲストにはありません。ホストのコンピュータから、CPUやハードディスクなどの一部をゲストのコンピュータに割り当てることで、物理的な実体を持たないコンピュータを作り出しています。

 仮想マシンを作るソフトウェアはいくつか種類がありますが、ここでは「Oracle VM VirtualBox(以下VirtualBoxと記載)」を使います。

仮想マシンの作り方

 インストールしたVirtualBoxを起動します。画面上部の[ファイル]の右の[仮想マシン]→[新規]をクリックします。

 画像のようなダイアログボックスが表示されます。それぞれの項目を設定します。

  • 名前:仮想マシンの名前をつけます。
  • マシンフォルダー:仮想マシンを保存する場所を選びます。
  • タイプ:仮想マシンのOSを選択します。
  • バージョン:仮想マシンのOSのバージョンを選択します。

 ここではLinux系のDebianというOSにMoodleのバージョン3.11をインストールするため、下記のように設定しました。

  • 名前:debian_moodle311
  • タイプ:Linux
  • バージョン:Debian(64-bit)

 [エキスパートモード]をクリックします。
 Installing Moodleの「Hardware」の部分に「メモリは最低512MB、1GB以上を推奨」というようなことが書かれています。ここでは1024MB(=1GB)を設定しました。

どうして1024MBが1GBなのか不思議に思った人はいるかな?
これはコンピュータでは全て2進数で表すからなんだ。10進数では10の3乗=1000ごとに接頭辞(ここでは単位の前について単位を補足するもの。k、M、Gなどのこと)がk→M→Gと変わっていくけれど、2進数では2の10乗=1024が一番1000に近くてキリのいい数字だから1024ごとに接頭辞を変えるようにしたんだって。

 それ以外はデフォルトのまま[作成]をクリックします。

 仮想ハードディスクの作成というダイアログボックスが表示されます。ここでコンピュータのディスク容量を設定します。ダイアログボックス内では「ファイルサイズ」と書かれています。
 もう一度、Installing Moodleの「Hardware」の部分を確認します。ディスク容量は「最低5GB(Moodleのコード用に200MB必要)」というようなことが書かれています。今回の目標はLMSを動かして簡単な動作テストをすることなので、少し小さめに4GBに設定し、それ以外はデフォルトのまま[作成]をクリックします。

 図のように、仮想マシンが作成されました。

キーワードのおさらい

仮想マシン物理的な機械の部分を持つコンピュータAの上に作り出された、仮想的なコンピュータBのこと。Aのことをホスト、Bのことをゲストと呼ぶ。
2進数数の表し方のひとつで、10進数が10になると桁があがるように、2進数では2になると桁があがる。コンピュータの世界では全てをこの2進数で表す。

次は作成した仮想マシンにOSをインストールする手順を説明する予定だよ~。